2017年
桜花賞 カワキタエンカ
カワキタエンカが狙いすましたような奇襲を見せたレース
大外スタートのカワキタエンカは他の馬が内ラチに寄っていく中、自分だけは大外をまっすぐに走った。しばらくして馬群のペースが落ちたところで自身だけはスピードを落とさず一気に内に切れ込んで、一瞬にして7馬身ほどのリードを確保
その一瞬の鮮やかさは、競馬とは言え”とるかとられるかの命懸けの勝負”を表しているようだった
【当時のレビュー記事】
中山大障害 アップトゥデイト
絶対王者のオジュウチョウサンに対して前王者のアップトゥデイトが大逃げに打って出たレース
スタートしてすぐに差は広がりアップトゥデイトがみるみる他馬を離していくが、誰もそれを追うことなくレースは進行
レース後半、他馬は自分の走りに精一杯で自ら一頭で動くしかなくなったオジュウチョウサン。獣のような走りで追いかけはじめると差は徐々に縮まっていく。しかしアップトゥデイトも最後の死力を振り絞りゴールに向かった
今年の逃げベストレースどころか”日本競馬史上に残る名勝負”といってもいいほどの大激戦だった
2018年
プロキオンS マテラスカイ
サイタスリーレッド、ドライヴナイト、ドリームキラリというトップクラスの逃げ馬が集まったレース。そのメンバーの中でも日本の重賞初挑戦となるマテラスカイはビュンと飛び出し先頭に立った。そのまま不良馬場を驚異的なハイラップで逃げ、ゴールでは1:20.3というダートの世界レコードを叩き出し逃げ切り
武豊騎手はハイラップでも道中減速させない走りに努めておりまるで”スピードの限界”に挑むようなレース運び。それに見事に応えきったマテラスカイは強く美しかった
【当時のレビュー記事】
2019年
阪神ジェベナイルF レシステンシア
すんなり先頭をとって手ごたえ良く逃げ、最後スパートをかけたら5馬身差の圧勝。先頭を走ったのに上がりタイムはメンバートップで、走破タイムは1分32秒7の2歳レコード
一心不乱な逃げ馬というわけではなく、この馬なりに普通に走ったらそのスピードに他の馬がついてこれなかった、といったレースぶり。まるでマルゼンスキー状態。2歳戦とはいえG1でここまでの能力差を見せつけるとは恐れ入った
オーシャンS モズスーパーフレア
1200m戦で5馬身離しての大逃げのカタチになるだけでもすごいのに、そのまま並ばれることなくゴールに飛び込んだ
2018年の逃げスプリント王ワンスインナムーンの引退と入れ替わるように現れた新星の鮮烈なパフォーマンスだった
【当時のレビュー記事】
万葉S ヴォージュ
強引にハナを奪って速いラップで大きくリードをとると、そこから一気にペースダウン。やっと後続が追いついてきたところで、待ってましたとペースを一気に上げて11秒台のラップを連発。ゴール前ではユーキャンスマイルの猛追をハナ差凌いでゴールした
レースを一頭だけで完全にコントロールし、後ろの馬たちを手玉に取ったような痛快な走りだった
【当時のレビュー記事】
2020年
ジャパンカップ キセキ
戦前からスローな展開になると読んで全盛期を彷彿させるような思い切った先行策をとった結果、暴走気味に大逃げに突入した。やりすぎというほど飛ばしまくり、並みの逃げ馬なら早々にバテてしまうケースだったのだが、高い能力と根性で最後まで死力を尽くして走り切った
この時の1000mラップは57.9秒で2000mは1分57.5秒。このタイムはこの年の天皇賞(秋)の勝ち時計よりも速いものだった
【当時のレビュー記事】