負担重量(斤量)によって逃げる確率に違いがあるのかをデータを取って検証します。データの対象範囲は2012年~2016年に行われた平地の特別競走の3歳上と4歳上のレースです
注)特別競走に限定したのは平場での減量騎手の逃げ率が高すぎるためです。記事の最後にそのデータを載せています
各斤量による逃げ率データ
・各斤量による逃げ率データ(性別)
「全体データ」から見える傾向
51.5~53㎏が最も逃げ率が高いことが分かります。軽ければ軽いほど、走り出しの初動で軽い方がスピードを出すことが可能。また重量馬よりバテにくいため騎手が先行させることが多いようです。ただし51㎏以下の斤量の馬はそのレースでの能力的な評価が低く、そもそも先行する足がないためか、数値が低くなっていると考えられます
57.5~59㎏の率が上がる原因として、重い斤量の馬はそのレースで最も能力評価が高い馬であることが多いため走力の高さから逃げる確率が高くなることや、能力的にはバテないまでも鋭い差し脚が出せない可能性を考えて騎手が先行させるからだと考えられます
「牡馬データ」から見える傾向
データの傾向は全体データに似ています。同じ斤量帯にあっても牡馬は牝馬に比べて逃げる確率が低い、というとても重要な数値差が出ています
「牝馬データ」から見える傾向
軽量での逃げ率が牡馬よりも高くなっています。牝馬はもともとの馬体重が牡馬より小さいため、斤量差の影響が逃げにも出やすいようです
・各斤量による逃げ率データ(芝ダート別)
「芝データ」から見える傾向
全体データの各斤量帯の数値をやや均一化したようなカタチ。芝の斤量による逃げ率の差は少ないといえます
「ダートデータ」から見える傾向
ダート戦ではスタート後の差がつきにくいため、重量馬の走力でも振り切ることができず、結果斤量が軽い馬の方が逃げられるようです
・各斤量による逃げ率データ(距離別)
「1300m以下データ」から見える傾向
スタート直後のスピードがモノを言うスプリント戦では、初速の速い軽量馬が圧倒的に逃げやすいようです
「1400m~2000mデータ」から見える傾向
重量馬が逃げる率が他の距離より高いです。スプリントに比べ逃げようと思えば逃げられるレースペースになるので、重量馬を先行させようとする騎手の意識が、強く表れていると考えられます
「2100m以上データ」から見える傾向
51.5~53㎏の逃げ率が高いことが見てとれます。長距離となるとスタミナ勝負のため、バテにくいと思われる軽量馬が逃げることが多いようです。ただ、長距離ではスローペースになりやすいため、重量馬でも特に問題なく先行するケースも多いようです
まとめ(特別競走のみ)
・斤量に関係なく牝馬の方が逃げやすい
・51.5~53㎏の馬が逃げやすい
・ダートでは軽量馬の方が逃げやすい
・1300m以下では軽量馬の方が逃げやすい
▼おまけ▼
一般レースで新人騎手に与えられる減量と逃げ率に関して検証してみました
減量騎手の斤量によるデータ
減量騎手から見える傾向
減量のないベテランジョッキーに比べて減量騎手は大きく逃げ率が高いことが分かります。斤量差で先行が有利になりやすい事と、新人騎手が馬群の中でレースをすることを嫌うためだと考えられます
もう少しで減量がとれる☆(-1㎏)の騎手の逃げ率が高いのは、新人騎手が上達しベテラン騎手とほぼ同じように乗れるようになった結果、やはり軽量は前に行った方が有利だと判断して逃げを実行している表れだと考えられます
まとめ
・平場の競争では減量騎手が逃げやすく、特に☆(-1㎏)が逃げやすい