『菊花賞』(3歳G1) 阪神 芝3000m
◇勝ち馬◇ タイトルホルダー【逃】 ◇勝ち時計 3:04.6(良)
◆逃げ馬◆ タイトルホルダー(1着) ◆前3F 35.1 ※平均 36.92
逃げ馬展開
タイトルホルダーが最高のスタートを切ると押していき、内のワールドリバイバルが来ているのを確認したうえでさらに激しく追ってハナを獲得した。一週目のスタンド前で4馬身ほどのリード、2000m地点で1馬身差に引き付け第3コーナーから徐々にペースアップ。直線手前で大きく離すとそのまま5馬身差で圧勝
逃げ馬短評
《タイトルホルダー》
メンバー中最高のスタートを切って押して出ていったところ、大方の予想通り最内のワールドリバイバルが必死にハナを狙ってきた。鞍上の横山武史はその動きを2度しっかり見て相手が来ているのを確認したうえで、さらに手を激しく動かし加速するという判断(これで逃げは成功したが、番手の実績もある馬にこんな玉砕まがいの動きをさせた時点で”度胸を超えた得体のしれない何か”を感じた) 3度目の確認で逃げを確信しやっと手を緩めた
その後は4,5馬身の大きなリードをとっての逃げ。人気上位3頭が後方に陣取ったために先行馬たちは無理に前を追わず、タイトルホルダーが中盤で1F14.3秒という超スローラップに落としても大きく隊列が崩れることはなかった
そして残り800mあたりでは、他馬に並びかけられる前にいち早くタイトルホルダー自らペースアップ。11秒台を連発して直線入口で先行馬たちを置き去りにし差し馬たちをレースに参加させず独走でゴール
上記のように横山武史騎手のこのレースに於いての”逃げる”という判断が異次元すぎる
レース後の勝利インタビューで「前走酷い競馬だった(番手でかかり通し)」「一頭抜ければ強いのは弥生賞の勝利でわかってた」と話したことからレース前から逃げ作戦を視野に入れるのはわかる。「スタートで馬のやる気を感じた」「ポジション落として馬と喧嘩するよりまし」と話したことからレース中に逃げる可能性を見出すのもわかる
とはいえ3歳3000mの菊花賞であれば”未知の長距離適性”に期待して無難に番手競馬をさせるのが”普通”であるはず。皐月賞2着で4番人気の実績馬タイトルホルダーを、捨て身覚悟できてもおかしくないワールドリバイバル(現に内からガンガン来ていた)と競らせるなんて怖ろしくてまずできない判断
そりゃあファンたちはいつも「あーすればいいのに、こーすればいいのに」と勝手に言ってはいるけれど、実際は調教師の指示があったり後々の信用問題につながるから無難に乗ってしまうのは仕方がないことだと暗に理解はしているはずだ。なのにそんな風潮をこうも鮮やかにブチ破ってしまうとは!
ダービーで大逃げしたり初G1勝利でニコニコ会見したりと元々とんでもない騎手だと思っていたけど、これは上方修正しないといけない。”度胸”とか”覚悟”とかでは到達できない”根本的な性質”が(いい意味で)ぶっ飛んでるんだと思う
《ワールドリバイバル》
最内スタートで逃げるしかない状況だったが外のタイトルホルダーが好スタートを決めて押していくのを見て100m地点で手を止めた。その後、馬群に揉まれて18着
前半3F35.1秒はこの馬の最速タイムより速く、現状の経験値ではどうしようもなかった。それでもハナをとり切るしかない馬ではあるので、無茶でも行くしかなかったのだが……そんな、馬とレースを壊しかねない判断をこの大舞台で騎手に要求するのは酷なことだろう