ワグネリアンのデビュー勝利によって2018年から特に注目されるようになった『7月の中京・新馬2000m』
ワグネリアン以前も、それ以後も強い馬を輩出しているイメージがあるこのレースだが、実際にはどうなのか検証してみた
仮説
なぜ中京新馬2000mに強い馬が集まるかの理由として
「関西で世代最初に行われる左回りの2000m戦」なのでダービー狙いの素質馬が出走してくる
とたててみる
過去の成績のデータ検証
かつて中京の新馬戦は番組の関係上12月にしか行われていなかったが、番組改編で夏競馬が行われるようになった2015年から新馬戦もその時期に施行。そのため今回は2015年以降のデータを使用し、各年ごとの勝馬の成績+それ以外の着順で活躍した馬を調べた
(2020~2022年は京都競馬場改修工事の影響で9月からの開催になっているが、今回2カ月の差は許容しデータに含めた)
2015年7月19日
勝馬 ブラックスピネル(東京新聞杯・G3)
9着 ウインテンダネス(目黒記念・G2)
2016年7月17日
勝馬 トリコロールブルー(大阪城S・OP、ケフィウスS・OP)
2017年7月16日
勝馬 ワグネリアン(東京優駿・G1、神戸新聞杯・G2、東京スポーツ杯2歳S・G3)
7着 バイオスパーク(福島記念・G3)
2018年7月8日
勝馬 カテドラル(京成杯AH・G3)
2着 トーセンカンビーナ(阪神大賞典2着・G2)
3着 ブラヴァス(新潟記念・G3)
4着 ダノンチェイサー(きさらぎ賞・G3)
2019年7月7日
勝馬 マイラプソディ(京都2歳S・G3)
2020年9月13日
勝馬 テリオスルイ(三木ホースランドJS・JOP)
2021年9月12日
勝馬 ジャスティンパレス(天皇賞春・G1、阪神大賞典・G2、神戸新聞杯・G2、ホープフルS2着・G1)
2022年9月11日
勝馬 オープンファイア(きさらぎ賞2着・G3)
考察
まだ活躍の場が少ない2022年勝馬オープンファイアを除くと、7頭の勝馬はそのすべてがOPクラス(テリオスルイはジャンプレース)を勝利(100%)。そのうち5頭が重賞を勝ち(71.4%)、その中でも2頭がG1を勝っている(28.6%)
1世代の「新馬戦」は約300で重賞の数は140(46.7%)、G1は27(9%)なので、割合で観ても平均値を大きく上回る活躍ぶりがわかる
また勝った馬以外の成績を見ていくと途端に平凡なものになることも同時に発見した。仮説通りこのレースに素質馬が集まっているとするなら2着以下の馬もそれなりに活躍しそうなものなのだが、実際は2018年以外、特に活躍馬が多く出ている年がなかった
これは競馬経験からくる想像でしかないが、もしかしたら「これまで自分より強い馬に出会ったことなかったエリート素質馬たちが、初めてのレースでさらに強い”重賞級の馬”の存在を知ることで心が折れてしまう」のかもしれない
さらに追加で『世代最初の「中京・新馬2000m」の数週間後に行われる”次”の「中京・新馬2000m」』の勝馬を調べたところ、該当レースは5つあったものの現状ではOPクラスの勝馬でさえ0頭だった
サンプルは少ないが、このデータからもやはり「素質馬は最初の新馬戦を選んでいる」という可能性が高く、仮説の信憑性を増している
結論
世代最初の『中京・新馬2000m』の勝馬は強い!
※ただしこのレースで負けると出世が遠のく