連続逃げ&秋古馬逃げ三冠&レコード決着、記録ずくめ!
マルターズアポジーがデビュー以来逃げ記録31回を記録し”生ける伝説”に。キセキは秋古馬三冠全逃げ達成の偉業。その他プロキオンSでのマテラスカイの完封劇など逃げが目立った
7月
『CBC賞』 ワンスインナムーン
◆勝ち馬◆ アレスバローズ 勝ち時計 1:07.0【平均ハロン 11.17】
◆逃げ馬◆ ワンスインナムーン(13着) 前半ラップ 32.7【3F基準 33.5】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ワンスインナムーン ◇ランクキープ 1位→1位》
・レース展開
外枠スタートから凄まじいスピードで先頭立った。そのまま3馬身ほど離して逃げ、最後の直線でも残り100mまで先頭を守ったが、その後バッタリと止まって13着となった
・短評
すごい勢いで先頭に立ったまでは良かったが、単騎の先頭でもその勢いが止まらずに飛ばし続けてしまった。その分、ゴール前では完全にガス欠状態になり失速
走るたびにスピードは増してきているので、その分の先行争いでの余裕を騎手が上手く使えれば、もっとスマートにレースができるはず。今回はテン乗りで仕方がなかったと割り切って、次回騎手が続投するようなら好走の可能性は十分考えられる
《トウショウピスト ◇ランクアップ 9位→8位》
・レース展開
好スタートを切ったもののその後のスピードではワンスインナムーンに敵わなかった。結局3番手で展開し、最後の直線ではしぶとく走り切って7着
・短評
ハイペースの追走の割には最後の直線までしっかり走り切った。今回は地味なレースぶりになったが、状態はかなり上向いているみたい
《アクティブミノル ◇ランクダウン 6位→9位》
・レース展開
好スタートを切ったが、特に押さず中段に。馬群の中で手ごたえ悪く追走が精一杯で、最後までまったく伸びずに16着
・短評
逃げるしかない馬をわざわざ馬群に入れて大敗。ハイペースでダメージを負うくらいなら、この馬のレースをしない方を選んだのかも。最初から諦めていたようで、とても残念

『プロキオンS』 マテラスカイ★
◆勝ち馬◆ マテラスカイ 勝ち時計 1:20.3【平均ハロン 11.47】
◆逃げ馬◆ マテラスカイ(1着) 前半ラップ 33.5【3F基準 34.4】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《マテラスカイ ◇ランクアップ 圏外→2位》
・レース展開
好スタートを切って一気に先頭に。速いラップを刻み1馬身の差で逃げ始め、3コーナーに入るとさらにリードを広げた。直線ではさらにさらに突き放し最後は4馬身差で日本レコードタイムでの圧勝
・短評
時計の出やすい馬場状態だったとはいえ、芝でも通用するラップで逃げ1000mの通過タイム56秒3、1200mの1分7秒5も日本レコードに相当する速さ。1600万下クラスの身でドバイGSに出走し5着に入ったことから「世界5位の馬」とふざけて扱っていたが、スプリント界では本当に世界5位以上の力がありそう
このラップで逃げられるならわざわざ控える競馬をすることもなさそうで、今後は最強の逃げ馬になっていくかもしれない
《ウインムート ◇ランクダウン 3位→10位》
・レース展開
猛烈に押して超ハイラップの2番手を確保。ギリギリまで2番手を守ったが最後にインカンテーションに交わされ2着
・短評
前のマテラスカイは異次元の走りなので仕方ないとして、この馬としては速い流れを前につけてギリギリまで粘った。やはりこの距離であればほぼ完ぺきに力を出し切れるようだ
《ドリームキラリ ◇ランクアップ 6位→5位》
・レース展開
内からグングン伸びたがマテラスカイとウインムートの速さに危険を感じたか早めにブレーキをかけて3番手。最後の直線でも大きくはバテずに6着入線
・短評
抑えがちなデムーロ騎手が前半であまりの速さを察知してブレーキを掛けた。そのため内に包まれるカタチになり本来の力を出せない状態に。ただ苦手な展開でも最後までしっかり走っていたことから、次走逃げられれば好走できそう
《ドライヴナイト ◇ランクダウン 2位→3位》
・レース展開
好スタートを切って無理には押さずに中団待機。そのまま馬群でもがいて後退し13着
・短評
前につけないと能力が発揮できないようだ。今回は全体のペースが特に速く、様子を見ているうちに中段に包まれた。直線でもほとんど追っていないことから馬が走る気をなくして騎手が諦めたと考えられる
次走はなにがなんでも逃げてくるはず
《サイタスリーレッド ◇ランクダウン 4位→11位》
・レース展開
比較的いいスタートから、ズルズルポジションを下げていき最後は最下位入線
・短評
芝スタートのコースはからっきしの馬。深くて乾燥したダートを走った時のみチャンスがありそう

『七夕賞』 マイネルミラノ
◆勝ち馬◆ メドウラーク 勝ち時計 2:00.8 【平均ハロン 12.08】
◆逃げ馬◆ マイネルミラノ(9着) 前半ラップ 34.4【3F基準 36.2】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《マイネルミラノ ◇ランクイン 圏外→7位》
・レース展開
スタートから猛烈に押して先頭に立つと、2馬身差での逃げ。向こう正面では4馬身離した。4コーナーで一気に距離を詰められると直線ではまったく抵抗できずに後退し9着
・短評
スタートの加速は相変わらず遅かったものの、スピードが乗ってからは速かった。今回はズブさを警戒してか先頭に立ってからも細かく押していたため、結果的に暴走的なラップ構成。どうやら前にいれば勝手に行き足がつくタイプのようで、次走乗り変わりがないか、あるいは乗り慣れている柴田大知騎手であれば、好走のチャンスはありそう
大きく負けたとはいえ今回しっかり逃げられたのは収穫。この流れを繰り返していけばまだ活躍の場はある

『函館記念』 カレンラストショー
◆勝ち馬◆ エアアンセム 勝ち時計 1:59.8【平均ハロン 11.98】
◆逃げ馬◆ カレンラストショー(15着) 前半ラップ 35.1【3F基準 35.9】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《カレンラストショー ◇ランクアップ 圏外→8位》
・レース展開
回転の速いダッシュで先頭に立った。向こう正面では2馬身離しての逃げ。第3コーナーでマイネルハニーに交わされるとズルズル後退していき15着
・短評
スローペースを逃げて抜群のキレ味を発揮するのが持ち味。今回の前半35.1秒は過去最速のハイペースで惨敗。今後はもっとペースの遅くなる長距離戦を使っていく方が良さそう
《マイネルハニー ◇ランクダウン 8位→9位》
・レース展開
押して出ていき2番手に収まった。終始かかった状態で追走。残り600mで先頭を交わしたものの、その後は力尽き14着
・短評
ラップの速い時に前に出て、ラップの遅いときに控えるロスの多い騎乗。前走も似たような騎乗をしていて、前にガンガン走っていくこの馬の良さを否定する騎乗。すぐ騎手を変えた方が良さそう。今回の惨敗を見るに、すでに手遅れかもしれないが
《クラウンディバイダ ◇ランクダウン 12位→13位》
・レース展開
3番手につけていたが第3コーナーで逃げ馬の脱落に引っかかりやや後退。馬群に飲まれる形となり13着
・短評
内のスタートで激しく押したが先頭は取れず。さらに内に閉じ込められ力が発揮できない位置取りになった

『中京記念』 ウインガニオン
◆勝ち馬◆ グレーターロンドン 勝ち時計 1:32.3【平均ハロン 11.54】
◆逃げ馬◆ ウインガニオン(8着) 前半ラップ 33.8【3F基準 34.6】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ウインガニオン ◇ランクアップ 11位→9位》
・レース展開
この馬にしては少し遅れたスタート。それを取り戻すように激しく押しまくって先頭を狙った。内のマイネルアウラートとアメリカズカップの出足が鋭く、3頭で競って他を7馬身離した。常に3頭の外をまわったウインガニオンは最後の直線でも馬場の真ん中を選んだがすでに足はなく、8着に沈んだ
・短評
戦前の予想よりはるかに速いペースで内の2頭が先頭争いをしているところに外から参加。ハイペースとコースの不利で早々とバテてしまった。番手の競馬も出来る馬だが、今回は決め打ちが仇になったか
ただこのレースをして8着というのは、それはそれで頑張った方。次走展開がまともなら巻き返しは十分考えられる

『アイビスSD』 ラブカンプー
◆勝ち馬◆ ダイメイプリンセス 勝ち時計 0:53.8【平均ハロン 10.76】
◆逃げ馬◆ ラブカンプー(2着) 前半ラップ 32.1【3F基準 32.3】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ラブカンプー ◇ランクアップ 圏外→9位》
・レース展開
バランスよくスタートし自然な形で加速、スピードが乗るとわずかに先頭に立ってレースを引っ張った。残り200mで勝ち馬ダイメイプリンセスが真横を通って抜けていったが、ひるむどころかむしろくらいついていく姿勢を見せて2着に入った
・短評
1000m直線レースで出足のいい馬たちが勢ぞろいした中を逃げられた。3歳馬なので未知の部分が大きかったとはいえ、前半3F32.1秒は自身の持ち時計を1.6秒短縮する走り
前走葵Sでは同期のゴールドクイーンにハナを奪われて負けた。しかし今回のアイビスSDを逃げるのはG1レースで逃げるのに匹敵する評価。まだまだこの同世代ライバル関係は続いていきそう
秋の短距離戦線は、この2頭が上のランクの古馬たちに挑んでいく姿に注目だ
《アクティブミノル ◇ランクダウン 11位→12位》
・短評
スタートの出足が素晴らしく一瞬は先頭に立っていた。馬場の荒れた最内スタートで外を狙って斜めに走った分のロスもあり、横並びの番手を走ったが最後は力尽きて8着
ヘタに状況見てから動こうとする騎手より今回の酒井騎手が乗った際の出足が断然良く、この組み合わせの方がチャンスは大きそう

『クイーンS』 ティーエスクライ
◆勝ち馬◆ ディアドラ 勝ち時計 1:46.2【平均ハロン 11.80】
◆逃げ馬◆ ティーエスクライ(10着) 前半ラップ 34.4【3F基準 35.4】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ティーエスクライ ◇ランク圏外》
・レース展開
遅れ気味のスタートから押し続けたティーエスクライ。内で好スタートを切って先頭に立ってほぼ逃げを確定させていたツヅミモンを、コーナーに入っても追い続け外から強引に交わしてそこから4馬身離した逃げを敢行。しかしリードはながく続かず第4コーナーの手前でバテて失速、大差の最下位となった
・短評
前走逃げ切り勝ちをし生涯2度逃げて2勝の成績からか、今回は”とにかくどんなことがあっても逃げる競馬”をした。前半34.4秒という自身最速のタイムで走り結局は大バテ。あまりに無理な競馬だったので今回の大敗は度外視してよさそう
札幌1800mはスタートからコーナーが近く、出遅れて内の馬が前に行った時点で控えるのが普通だと思うが、それでは”次走への反省点”が見つかりにくい。無理にでも逃げる事で”これはやってはいけない”というラインが明確に見えた分、まだ収穫はあったか
この馬は前走1000万下を勝ったばかり、次走条件戦の緩いペースで走れば思わぬ好走をするかもしれない

8月
『小倉記念』 マウントゴールド
◆勝ち馬◆ トリオンフ 勝ち時計 1:56.9【平均ハロン 11.69】
◆逃げ馬◆ マウントゴールド(3着) 前半ラップ 35.6【3F基準 35.1】《Sペース》


▼逃げ馬短評▼
《マウントゴールド ◇ランク圏外》
・レース展開
並のスタートで出て、周りの加速に合わせてじわじわと前に出た。ペース自体は遅く流れ、道中は外のトリオンフに手応え抜群でピッタリマークされる競馬。残り600mでトリオンフが加速すると激しく追って抵抗。トリオンフには前に出られたが、その後も軽快に走り切りサトノクロニクルにだけ差されて3着に入った
・短評
前半3F35.6秒はレコード決着を考えるとスローと言っていい楽さ。スタートの横並びから流れの中で先頭に立ったので、次走逃げる可能性は低そう
レースは、今まで前につける競馬をしてきたこの馬には絶好の展開になった。しかしピッタリマークしてきた馬がとんでもないパフォーマンスを披露し勝利はならず。上の着順の2頭の力が抜けているのは過去の実績を見ても今回のレースを見ても明白だが、この馬は展開が向いた分が大きく能力の判断が難しい
次走、逃げられるほどのテンの遅いメンバーなら手放しで狙い目。逆に逃げ馬ぞろいのレースになったら慎重に判断した方が良さそう

『関屋記念』 エイシンティンクル
◆勝ち馬◆ プリモシーン 勝ち時計 1:31.6【平均ハロン 11.45】
◆逃げ馬◆ エイシンティンクル(3着) 前半ラップ 34.2【3F基準 34.4】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《エイシンティンクル ◇ランクイン 圏外→10位》
・レース展開
好スタート好ダッシュを決めてすぐに1馬身半のリードをとった。絶好の手ごたえのままリードを保ち直線へ。残り400mでスパートをかけると後続と同等の末脚で逃げこみ体勢に。最後は残り100mで大外から強襲にあい3着になった
・短評
完全に見くびっていた!過去のレースではほとんど逃げていたものの、それらは条件戦でのもので、今回の初重賞挑戦では後手を踏むと思っていた。蓋を開けてみれば自身最速となる前半3F34.2秒の快速で、逃げ馬ランキング10位のウインガニオンの追跡を寄せ付けない逃げを披露
血統も魅力的。あの歴代逃げ馬ランキング9位エイシンヒカリの妹に当たる。調教師に言わせると「兄より気性が難しい」とのこと。デビューから中距離を使ってきて、この3走前から短距離を使い始めたら大好走続き。今後もマイルあたりで快速ぶりを発揮していきそうだ
《ウインガニオン ◇ランクダウン 10位→11位》
・短評
スタートが遅めなのはよくあること。そこからビュンと加速して前につけるまでは今まで通りだが、今回はその先にまだエイシンティンクルがいた。番手でも競馬はできる馬。しかし先頭を取りに行って足を使った上での番手どまりでは、最後の直線に足を残すことができなかったようだ。トップ斤量の58kgも堪えたか

『エルムS』 ドリームキラリ
◆勝ち馬◆ ハイランドピーク 勝ち時計 1:42.0【平均ハロン 12.00】
◆逃げ馬◆ ドリームキラリ(2着) 前半ラップ 34.5【3F基準 36.0】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ドリームキラリ ◇ランクキープ》
・レース展開
2番枠から好スタートを決めてあっという間に2馬身抜け出した。そのままのリードでレースを展開。第3コーナーから3番手にいたハイランドピークらがペースを上げて交わしにくると、それに対抗してハイラップを連発。最後はハイランドピークとの叩き合いになり、力及ばず2着となった
・短評
短距離で培ってきたスタートダッシュが炸裂し、ランキング1位にふさわしい他馬を寄せ付けない逃げを見せた。その先行力はここへ来てさらに完成度が増してきており、成績の安定につながっている
今回戦ったハイランドピークは重賞級どころかG1級の可能性もある馬で、敗戦も恥じることはない相手。そんな馬に速めに仕掛けられての2着はむしろドリームキラリの充実ぶりを感じた

『札幌記念』 マルターズアポジー
◆勝ち馬◆ サングレーザー 勝ち時計 2:01.1【平均ハロン 12.11】
◆逃げ馬◆ マルターズアポジー(15着) 前半ラップ 34.4【3F基準 36.3】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《マルターズアポジー ◇ランクキープ 1位→1位》
ゲートが開いた瞬間まっすぐ加速する危なげない逃げ。この馬のスタートに賭ける集中力は、先入れも後入れも関係ないようだ。いつものように自然なフォームの走りに見せて猛ラップを叩き出した。最初のハイペースはよくあること。しかし第3コーナーでのマイスタイルのまくりは厳しすぎた。相手の実験的な走りに付き合わされて共倒れのカタチになってしまった
今回は、精神的にも肉体的にもつらい競馬での大敗。それでもこの馬はいままで大敗後すぐに好走してきた。次走も期待!
《アイトーン ◇ランクイン 圏外→8位》
大外枠から好スタートを切って猛然と追って先頭を狙った。しかし、マルターズアポジーの動きを見た他の馬たちも加速を開始し、なかなか先頭に立てず。最初のコーナーで2番手に上がるのがやっとだった。その無理がたたってか、第3コーナーでバテて16着となった
陣営から国分騎手に対して「絶対に逃げるように」という指示があったのは明白。多分調教師はこの馬の”逃げるしかない何か”が分かっているという事なんだろう。この逃げは今後の布石で、これからもずっと逃げていくという宣言のように感じる。一見、玉砕行為にみえる動きだったが、このレースぶりの価値は今後を見て判断した方が良さそう
《クロコスミア ◇ランクキープ 6位→6位》
ドバイ帰り初戦。好スタートで前に出たものの、さすがに周りが早すぎると感じてか控えた。道中少しかかり気味の追走で、最終コーナーでは内で揉まれ、それでも最後までしっかり走り切っていた。持ち前の闘志は健在のようで、次走はもっと前で競馬をしそう
《マイスタイル ◇ランク圏外》
好スタートからマルターズアポジーの後ろをついていく競馬。一旦逃げ馬たちを前に行かせて第3コーナーで一気に先頭に立った。この加速が狙いなのか、かかったのかは微妙なところ。とにかく前に出たからそのまま押し切る”超強気の競馬”を展開し、直線半ばで失速した
今回は大失敗だったとはいえ、この動きが出来たことでスローペースの立ち回りには幅が出た。もともとスローペースが得意なこの馬に、さらに武器が増えたと言える。ハイペースの対応はまだまだ課題だが

『北九州記念』 ゴールドクイーン
◆勝ち馬◆ アレスバローズ 勝ち時計 1:06.6【平均ハロン 11.1】
◆逃げ馬◆ ゴールドクイーン(16着) 前半ラップ 32.4【3F基準 33.3】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ゴールドクイーン ◇ランクアップ 8位→4位》
今までの前半3Fの持ち時計33.9秒を1.5秒も更新する32.4秒で逃げた。1200mでのこのタイムは現役馬中最速。逃げ馬とはいえ、3歳牝馬がここまでがむしゃらに前を狙うとは驚いた。このメンバーでこの逃げをしたのであれば、今後も意思を曲げずにずっと逃げて続けてほしい
これで同年代牝馬のラブカンプーとは逃げ成績2戦2勝で競争成績は1勝1敗。このライバル関係にも注目
《ラブカンプー ◇ランクアップ 9位→5位》
9番枠スタートの分で、最内枠のゴールドクイーンのハナを奪うことはできなかった。それでも3番手でレースの流れに乗って、最後の直線一旦は先頭に立ち3着を確保。走り出したらペースを落とせない馬なので”ハイペースに流れるスプリント戦”がぴったりの条件のようだ
《ダイアナヘイロー ◇ランクダウン 4位→6位》
前走ほどの出遅れはなくこの馬としては標準的な速さを出した。が、周りが早すぎてすぐに馬群に包まれる展開。いい時と比べると最初の加速に物足りなさを感じる
今の行きっぷりでは1200mでは忙しすぎるか。今までは苦手にしていたが、かえって1400mのペースの方がマッチするかもしれない
《トウショウピスト ◇ランクキープ 12位→12位》
好スタートから猛烈に追うも4番手。この馬のベストの速さは出した。ただ、他が速すぎた
《アクティブミノル ◇ランクキープ 13位→13位》
いいスタートだったがさらに前に他馬が出ていくのを見て、強くは追わなかった。今年に入って凡走が続いていて逃げ足も不安定。今回の馬体重500㎏は過去最高なので、あとはこれを絞って状態が上向くことに賭けるのが一縷の望みか

『キーンランドC』 ナックビーナス★
◆勝ち馬◆ ナックビーナス 勝ち時計 1:09.4【平均ハロン 11.57】
◆逃げ馬◆ ナックビーナス(1着) 前半ラップ 33.7【3F基準 36.3】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ナックビーナス ◇ランクイン 圏外→12位》
無理に逃げる事はしない分、すんなり逃げられた時のレース運びは特にスムーズ。今回は逃げると思われたオールインワンが控えたことで、完全に主導権を握ることができた
おそらく前半3Fを33.5秒前後のタイムで定速で走っており、今後も他の逃げ馬がそれより速く走るかどうかで”逃げ”あるいは”番手”の競馬をしていくことになるだろう。相手に関係なくタイムを出せることで、毎回常に安定して力が出し切れるようだ
《オールインワン ◇ランク圏外》
きれいに揃ったスタートを決めても手を動かすことなく、何度も何度も内を見て周りの馬の出方を伺っていた。そうこうしているうちに馬の方がかかってしまい加速。結局2番手のポジションとなり、4コーナーで早々と脱落
過去の戦歴から”逃げるしかない馬”という答えが出ているように見えるが、戸崎騎手は”ノーマルな馬”としての騎乗を選択してチグハグな競馬となった。この騎手は競馬新聞を読まないタイプのようだ
もともと能力的に足りていない感はあったので、今回のようにハイペースになったら逃げようが逃げまいが好走の可能性は薄い馬ではある。ただ、だからといって前を狙わないレースをさせていると、今後馬が逃げることさえやめてしまう危険もある。肉体的なダメージな少ないが、精神的なダメージは大きいレースとなった

9月
『新潟記念』 マイネルミラノ
◆勝ち馬◆ ブラストワンピース 勝ち時計 1:57.5【平均ハロン 11.75】
◆逃げ馬◆ マイネルミラノ(13着) 前半ラップ 35.6【3F基準 35.3】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《マイネルミラノ ◇ランクキープ 7位→7位》
他に逃げようとする馬がいなかったので、テンの遅いこの馬でもスタートから200mですんなり先頭に立てた。ただ、この馬は先頭に立つとさらに気分よく飛ばしていくタイプ。200~400mでさらに加速し、その後もかかった状態での逃げになってしまった
テン乗りではこの馬の特性を掴むのは難しかったか。レースラップとしてはイーブンな数値にコントロールできているので、これをリラックスした状態で出せれば重賞クラスでも勝負になるはず。次走も津村騎手が続けて乗るようならそのあたりの修正は効きそう
《マイネルハニー ◇ランクキープ 10位→10位》
いいスタートから無理に押さずに出て、同クラブのマイネルミラノの邪魔をしない”離れた番手”を走った。しかしこの馬はハイペースの中で前を競り潰していく走りが得意
レース外の事情から”直線の瞬発力勝負”という苦手な作戦をとるしかなかったのは不幸だった

『セントウルS』 ラブカンプー
◆勝ち馬◆ ファインニードル 勝ち時計 1:08.8【平均ハロン 11.47】
◆逃げ馬◆ ラブカンプー(2着) 前半ラップ 33.3【3F基準 34.4】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ラブカンプー ◇ランクアップ 5位→2位》
素早く先頭に立ちペースを整えにかかったところで、かつてのトップ逃げ馬ネロの競りかけてきた。しかしそれをさらなるスピードを発揮して退けた。その結果、重馬場で前半3F33.3秒という不測のハイペースになったにもかかわらず、それでも堂々の2着に粘った
3歳牝馬としてはかなり使いこんでいる印象だが、馬体重は今回が過去最高と案外堪えていないのかもしれない。レース後の状態によってはスプリンターズSでもこの快速が見られるか
《ネロ ◇ランクアップ 7位→6位》
好スタートだったがラブカンプーはさらに速かった。とにかく追いまくり一旦は先頭に立ったもののラブカンプーの再加速に屈した。7歳秋でも依然速さは保っており、先頭を取り切ればまだまだしっかり戦えそうだ。ただ今回は相手が悪かった
《ダイアナヘイロー ◇ランクダウン 6位→9位》
好スタートで流れの中で前につけた。しかし周りはさらに速い馬だらけで控えるカタチになりそのまま中団から伸びることなくレースを終えた。もともと中団からでは伸びない馬であることに加えて、道中で鼻出血を起こしていたとのこと
《ウインソワレ ◇ランクダウン 8位→10位》
イマイチのスタートになり、すぐにコーナーが来る阪神1200mコースでの大外15番では後方に回るしかなかった。前に行く気力をなくして14着といいところがなかった

『京成杯AH』 ミュゼエイリアン
◆勝ち馬◆ ミッキーグローリー 勝ち時計 1:32.4【平均ハロン 11.55】
◆逃げ馬◆ ミュゼエイリアン(13着) 前半ラップ 34.7【3F基準 34.7】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ミュゼエイリアン ◇ランク圏外》
コーナーの多いコースなので包まれるのを嫌いハナを主張した。自身最速のラップで先頭に立ったのに、ペースを落としすぎてしまい逃げ馬ウインガニオンの暴走捲りを誘発。この馬自体は包まれでも伸びかけていたので立ち回り次第でももっと上の着順にこれたと思われる。得意戦法とはいえ、タメ逃げをしていい相手としてはいけない相手は見極めないといけない
《ウインガニオン ◇ランクキープ 11着→11着》
スタートからムチを入れて加速を図ったが、外のベステンダンクが体当たりまがいの寄り方をしてきてブレーキを余儀なくされた。その後ガンガンにかかった状態で5番手に留まる競馬。第3コーナーで前のペースが落ちるとこらえることができずに一気に先頭に立った。最後の直線で押し切ろうと逃げこみ体勢に入ったが残り100mで追い込み勢に交わされて10着となった
今回のブレーキは事故に近いケースで力負けとは言えない。ここ1年間成績は振るわないが前に行く気持ちは強いものがあり、次走もチェックはしておきたい

『オールカマー』 マイネルミラノ
◆勝ち馬◆ レイデオロ 勝ち時計 2:11.2【平均ハロン 11.93】
◆逃げ馬◆ マイネルミラノ(12着) 前半ラップ 35.9【3F基準 35.8】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《マイネルミラノ ◇ランクキープ 7位→7位》
積極的に動いて200~400m区間10.6秒を出して先頭を奪ったのは大評価。先頭を走ると行きっぷりが上がるタイプで、自ら徐々にペースを上げていったが最後の直線で完全にガス欠してしまった
近走の成績が振るわないので年齢的に力が落ちてきたと考えるのが自然か

『シリウスS』 コパノチャーリー
◆勝ち馬◆ オメガパヒューム 勝ち時計 2:01.5【平均ハロン 12.15】
◆逃げ馬◆ コパノチャーリー(12着) 前半ラップ 34.7【3F基準 36.5】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《コパノチャーリー ◇ランクキープ 2位→2位》
前半3Fの34.7秒はこの距離としては極めて速い。この速さを譲らないのがこの馬のトップランカーの所以か。さすがに飛ばしすぎて最後は早々とバテてしまったが今後の逃げに期待が持てる走りだった
《サンライズソア ◇ランクアップ 9位→8位》
外枠スタートからちょっと気合をつけると一気に先頭争いの位置まで加速。ハイペースで飛ばすコパノチャーリーの番手をマークして走ると、最終コーナーで早めに交わしきって逃げこみ体勢へ。最後は追い込み馬たち交わされ3着となったものの、このハイペースをほぼ逃げ馬と同じ位置にいてこの着順は立派
今まではスロー逃げしかしていなかったが、速いラップの逃げの適性も高そうだ
《ヨシオ ◇ランクダウン 8位→9位》
スタートから激しく押したが速さが足りず4番手。馬に囲まれ周りをやたら気にしている様子で、勝負どころではポジションが下がる一方。結果12着となった。他馬を怖がっているような素振りが見受けられたので、逃げるかせめて外のポジションを走らないとダメそう

『スプリンターズS』 ワンスインナムード
◆勝ち馬◆ ファインニードル 勝ち時計 1:08.3【平均ハロン 11.38】
◆逃げ馬◆ ワンスインナムーン(6着) 前半ラップ 33.0【3F基準 36.4】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ワンスインナムーン ◇ランクキープ 1位→1位》
3番枠を利してまっすぐ逃げを狙い、稍重ながら前半3F33.0秒のハイラップで後ろを離した逃げを敢行。最後1Fのラップが12.5秒というサバイバルレースに持ち込み、さすがに自身もバテたもののそれでも6着は立派
新世代のラブカンプーにも譲らず逃げ馬ランキン短距離王者の名にふさわしいレースぶりだった。今度はラブカンプーと内外が入れ替わった戦いもみてみたい
《ラブカンプー ◇ランクキープ 2位→2位》
好スタートから鋭く加速して先頭を伺ったが、こちらが外だったため深追いはしなかった。番手でも十分に速いラップで走っており、そこから2着までくるのは能力の高さ。11番人気という事でおそらく世間的には「若い勢いは認めるけど、いつ脆さが出るか」という考えでここまで来たはず。しかしこの好成績続きは単純に”強い逃げ馬”なだけだったようだ
しいていうならやや小さい馬なので今後は斤量がネックになるかもしれないが、今までの流れから行けばそんなこと関係ないくらい強いような気がする
《ナックビーナス ◇ランクキープ 12位→12位》
グンと抜け出すような好スタートを見せた。12番枠だったので内をみながら先頭争いには加わらず、3番手に収まった。最後の直線でラブカンプーと並んで上がりかけたが急に足が止まって7着
《セイウンコウセイ ◇ランクキープ 3位→3位》
一般的にはいいスタートの部類だが他の馬が速すぎた。激しく追ってポジションを上げにかかってやっと5番手。この位置では力が発揮できず12着となった

10月
『毎日王冠』 アエロリット★
◆勝ち馬◆ アエロリット 勝ち時計 1:44.5【平均ハロン 11.61】
◆逃げ馬◆ アエロリット(1着) 前半ラップ 35.3【3F基準 34.8】《Sペース》


▼逃げ馬短評▼
《アエロリット ◇ランク圏外》
抜群のスタートを切り手綱を抑えたまま先頭へ。モレイラ騎手は何度も横や後ろを確認しながら安全に最初のコーナーを回ると、向こう正面ではガッチリ抑えての逃げ。残り600mで手綱を引いたままリズムよく上下に動かす謎の技術を使って加速し後ろから追ってきた馬たちとのリードをキープ。残り400mでフルスロットルで追い出すと上がり3F33.8秒を繰り出し後続馬を完封し勝利した
そもそも差し馬が揃ったこのレース。各馬が先のレースを見越した乗り方で抑えて走ったためスローの展開になった。普通スローペースでの逃げは有利なのだがアエロリットはハイペースのスピード持続勝負に強い馬。ちょっと苦手な展開だったものの地力の高さと早めスパートの工夫で難なくこなした
他に逃げ馬がいれば番手の競馬を優先すると思われるので逃げ馬ランキングには入れないが、逃げた場合でも十分強いことが再証明された

『京都大賞典』 ウインテンダネス
◆勝ち馬◆ サトノダイヤモンド 勝ち時計 2:25.4【平均ハロン 12.12】
◆逃げ馬◆ ウインテンダネス(6着) 前半ラップ 35.7【3F基準 36.4】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ウインテンダネス ◇ランクイン 圏外→16位》
大外スタートから押していき先頭に。最初のコーナーまでに大きく差を開き10馬身以上のリードで展開。最終コーナーでほどほどのスパートをかけリードを保ちにかかったものの、残り300mで交わされると後続にも飲み込まれて6着となった
大逃げ状態を作り出せたのは良かった。コーナーで一気に減速して落ち着いたところまでは完璧。ただ向こう正面でラップタイムが上がり下がりし不安定になった。その分最後のスパートでガス欠状態になったと考えられる
次走も控える馬ばかり揃えばまた逃げるはず。滑らかなラップさえ描ければもっともっとやれそうだ。レース経験は豊富でも”逃げ経験”は今回で2度目。まだまだ成長の余地はあるはず

『府中牝馬S』 カワキタエンカ
◆勝ち馬◆ ディアドラ 勝ち時計 1:44.7【平均ハロン 11.63】
◆逃げ馬◆ カワキタエンカ(6着) 前半ラップ 34.9【3F基準 34.9】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《カワキタエンカ ◇ランクアップ 3位→2位》
外が不利な東京競馬場1800mでもすんなり先頭に立った。十馬身以上離す大逃げでも、ラップタイムは平均をキープ。さすがに最後の直線が長くゴール前で後続集団に交わされてしまったが、自分のラップを貫きトップとは0.5秒と差のない競馬が出来た
休み明け+苦手コースでこれだけ頑張れたのだから、次走はさらに期待できそう
《クロコスミア ◇ランクキープ 7位→7位》
最内が超有利なコースだがすぐに手綱を引いてハナを譲った。外の大逃げを見送って準逃げ状態を確立。ただ遅いラップタイムで終始かかってしまっていた。終盤は差し馬たちと同じ位置からスパートをし、案の定キレ負けして5着
大逃げを目の当たりにして完全にペース配分が狂っていた。岩田騎手はスロー逃げに偏った騎手のようで、同型対戦は苦手そう

『秋華賞』 ミッキーチャーム
◆勝ち馬◆ アーモンドアイ 勝ち時計 1:58.5【平均ハロン 11.85】
◆逃げ馬◆ ミッキーチャーム(2着) 前半ラップ 35.7【3F基準 35.6】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ミッキーチャーム ◇ランク圏外》
周りが控えるのを見てすんなり先頭へ。一旦加速したラップを口を割りつつも最初のコーナーで12.7秒のラップに抑えたのは上手かった。前走逃げていた馬たちがアーモンドアイの追い込みを警戒してか、こぞって控えてくれて単騎の逃げというラッキーな展開
このチャンスを活かす能力と好騎乗で”勝ったも同然”まで持ち込んだが、同世代に史上最強候補の馬がいたのはアンラッキーだった

『菊花賞』 ジェネラーレウーノ
◆勝ち馬◆ フィエールマン 勝ち時計 3:06.1【平均ハロン 12.41】
◆逃げ馬◆ ジェネラーレウーノ(9着) 前半ラップ 37.2【3F基準 37.2】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ジェネラーレウーノ ◇ランク圏外》
最高のスタートを切って先頭へ。それを見て他の逃げ馬たちがこぞって控えたので中盤を超スローでコントロールした。後ろが全く動かず展開し、この馬自身も直線に入るギリギリまで仕掛けない作戦をとり瞬発力勝負に持ち込んだ。結果、後続馬たちにキレ負けして9着に敗退
瞬発力よりは持久力が勝るこの馬は残り700mくらいで仕掛けるのが今まで走り方だと思うのだが、それはしなかった、おそらく田辺騎手は京都競馬場に慣れていない関東所属騎手なので、古くからタブー視されている”下り坂でのスパート”を自重した結果だろう。そのせいでジェネラーレウーノの持ち味を消す走りになったのは残念。「長距離戦では他地区の騎手の逃げは危険」という教訓を心に刻んだ
あと、この馬はハイペースで好成績、スローペースで惨敗という傾向が浮き彫りになった。今後は”自分でハイペースをつくればいい”ということになる
《メイショウテッコン ◇ランクキープ 6位→6位》
出足が遅くさらにヨレたスタートでゲートを出遅れた。すぐに馬群に包まれ終始揉まれる形で進行。かかった状態が続きスタミナロス、ほとんど競馬にならず14着
自分が見た感じ”わざとスタートを遅く出そうとしたら想像以上に遅れ過ぎた”ように見えた。馬群でのレースが無理なのは前走の序盤でも感じたはずなので、今回はスタートで終わったといっていい
能力自体は高いはずで、次走いきなり好走もあり得そう。しかし、その能力を発揮するためにはまずスタートが課題か
《アイトーン ◇ランクキープ 7位→7位》
好スタートを切ったが、さらに抜群のスタートを決めたジェネラーレウーノを前に見て追いまくった。しかし届かず目の前に入られると後ろに下がらざるを得ない位置関係に。そのまま内に押し込められ”逃げるしかないタイプ”のこの馬は競馬にならず、最後は16着に終わった
最内枠で好スタートから積極的に押してもハナに届かなかったということは、単純な加速力不足で”能力が足りなかった”といっていいレース。現状では重賞クラスで通用しなそう
今回は菊花賞という特殊な条件のレースなのでメイショウテッコンともどもランキングキープ評価とするが、次走次第では大きく評価が変わるかもしれない

『富士S』 マルターズアポジー
◆勝ち馬◆ ロジクライ 勝ち時計 1:31.7【平均ハロン 11.46】
◆逃げ馬◆ マルターズアポジー(14着) 前半ラップ 34.6【3F基準 34.4】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《マルターズアポジー ◇ランクキープ 4位→4位》
惚れ惚れするようなスマートで速いスタートを決めた。ペースを落とすことなくイーブンペースで進めたが、直線の入口でのスパートでもロジクライについてこられて長い直線ではもたなかった
現状、東京や京都競馬場では展開が向かなそう
《ウインガニオン ◇ランクキープ 12位→12位》
出遅れて激しく押して3番手まで戻した。しかし並んでの追走で窮屈なところを走り続け、早々とスタミナと気力を使い果たし最下位に
押しても加速がイマイチなレースが続いており、今後も逃げるのは難しいかもしれない

『スワンS』 レーヌミノル
◆勝ち馬◆ ロードクエスト 勝ち時計 1:21.5【平均ハロン 11.64】
◆逃げ馬◆ レーヌミノル(7着) 前半ラップ 34.7【3F基準 34.9】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《レーヌミノル ◇ランク圏外》
好スタートから押し出され気味に先頭に立つと、そのまま5馬身離した逃げに突入。最終コーナーで引き付けて直線で突き放す動きは素晴らしかったが、もうひと踏ん張りがきかなかった
昨年の桜花賞を勝って以来、長く低迷している馬。しかし今回休み明けで+12kgだったことを考えれば悪くない内容。今回も600~800mの区間でもう少し抑えることが出来れば、かなりいい着順にはなったはず。何となく光が見えた気がする
この1年半ぶりの逃げが良化のきっかけになりそうな予感

『天皇賞(秋)』 キセキ
◆勝ち馬◆ レイデオロ 勝ち時計 1:56.8【平均ハロン 11.68】
◆逃げ馬◆ キセキ(3着) 前半ラップ 36.2【3F基準 35.0】《Sペース》


▼逃げ馬短評▼
《キセキ ◇ランク圏外》
スタートから気合をつけ先頭を確保。序盤が楽だった分、中盤ではペースを落としすぎない逃げを敢行。さらに残り800mからラップを上げていき後ろの馬との差を広げて位置的優位を確保。最後1Fでラップが落ち、差されて3着になったがレースをコントロールした見事な逃げだった
3歳時は追い込んで活躍していた馬だがそれは出遅れが酷かったためのよう。まともに出るようになった今年は先行策を理想形としているようだ。今回は最初の1ハロン目が12.9秒と他の馬が控えた結果の逃げ。今後は他に逃げたい馬がいれば番手での先行をしていくことになるだろう

11月
『アルゼンチン共和国杯』 ウインテンダネス
◆勝ち馬◆ パフォーマプロミス 勝ち時計 2:33.7【平均ハロン 12.30】
◆逃げ馬◆ ウインテンダネス(4着) 前半ラップ 37.2【3F基準 36.9】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《ウインテンダネス ◇ランクアップ 17位→10位》
目黒記念を差し切り勝ちしていることから、末脚には自信がある馬。先頭に立ってから出来るだけスローに落として上がり33.6秒の末脚を繰り出した。逃げ馬としては破格の上りタイムなのだが、今回に関しては後ろの馬たちはさらに楽だったようで多くの馬が上がり32秒台を出すレースになってしまい、直線で3頭に交わされて4着になった
道中かかり気味だったとはいえ前走よりも滑らかなラップを刻むことができ課題はクリアした。陣営の狙い通りのレース運びが出来たのは大収穫といえる
あとはスローに落とした時にもう少し早めの仕掛けをしてみて辛抱できるかが最後の課題か。もしこれもクリアできるようなら十分に重賞を狙える馬になる

『武蔵野S』 ルグランフリソン
◆勝ち馬◆ サンライズノヴァ 勝ち時計 1:34.7【平均ハロン 11.84】
◆逃げ馬◆ ルグランフリソン(5着) 前半ラップ 34.8【基準ラップ 35.5】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《ルグランフリソン ◇ランク圏外》
芝を走っていた昨年12月以来の逃げで、14番人気ながら5着と健闘
それほど速い足があるわけではなく、他に逃げ馬がいた場合はハナは難しそう。今まで前に行きたがる気性を考えてか1400m戦を使い続けていた。しかし距離よりも”先行できるかどうか”がまず重要だったようだ
次走以降、先行しやすい1600~1800m戦に出てくるようなら狙い目か

『エリザベス女王杯』 クロコスミア
◆勝ち馬◆ リスグラシュー 勝ち時計 2:13.1【平均ハロン 12.10】
◆逃げ馬◆ クロコスミア(2着) 前半ラップ 36.4【基準ラップ 36.3】《Mペース》


▼逃げ馬短評▼
《クロコスミア ◇ランクキープ 7位→7位》
少しの気合でほぼ持ったまま先頭に立つ速さを披露。先頭に立ってからペースを一気に落として、キレ勝負に持ち込んだ
昨年に続いてのエリザベス女王杯2着。ずっと1800m前後のレースを主戦場としていたが、ハナに立てばコントロールしやすくなる馬。案外、長距離で逃げて折り合う競馬をしたほうが成績が伸びるかもしれない
《プリメラアスール ◇ランクキープ 15位→15位》
内枠4番から激しく押して逃げを図ったものの、200~400m区間の11.2秒にはまったくついて行けなかった。3番手の競馬になり最終コーナで脱落、最下位17着になった
逃げようとする姿勢は良かった。ただ速さの限界値が低く、逃げ馬ランクキング上位は難しいか

『福島記念』 マルターズアポジー
◆勝ち馬◆ スティッフォリオ 勝ち時計 1:58.3【平均ハロン 11.83】
◆逃げ馬◆ マルターズアポジー(7着) 前半ラップ 34.4【基準ラップ 35.5】《Hペース》


▼逃げ馬短評▼
《マルターズアポジー ◇ランクキープ 1位→1位》
珍しくスタートでつまづいた。しかしその後はいつも通りの速さで先頭に。普段より遅れて先頭を奪うカタチになり、その後の抑えが効かなくなってしまったようで必要以上のハイペースになったようだ
どうやっても前に行く馬だから、スロー逃げをしたがる戸崎騎手は向いていないような気もする。過去の成績を見直すと武士沢騎手からの乗り代わり以降チグハグな競馬が続いている。今さら武士沢騎手に戻すのは勇気が要りそうだから、せめて先行が得意な騎手に固定で乗り続てもらいたい。この稀代の癖馬はちょっと乗った程度では乗りこなせないはず
《マイスタイル ◇ランク圏外》
マルターズアポジーのハイラップについていって2着に残した。今回のメンバーの中ではもっとも能力が高そう。現状では馬任せなレースを続けていて、それが好結果につながっているようだ。当分はこの方針でいけば、馬が勝手に競馬を覚えてグングン成長していきそう
《マイネルミラノ ◇ランクキープ 8位→8位》
並のスタートで特に前を狙わず10番手あたりを走り、そのまま10着になった。今回はマルターズアポジーがいたので最初から前に行く気がなかったようだ

『マイルCS』 アエロリット
◆勝ち馬◆ ステルヴィオ 勝ち時計 1:33.3(良)
◆逃げ馬◆ アエロリット(12着) 前3Fラップ 35.0《M》※レース平均3F 35.0


▼逃げ馬短評▼
《アエロリット》
好スタートから内側を眺めて抑えにかかった。だれも逃げたがらないお見合い状態になり競る形でペースアップしたところで、騎手が抑えきれなくなり飛び出してしまった。さらにその場所が上り坂になっていてこの一瞬でとんでもないスタミナ消費
今までのレースのように”ペースが遅い”と感じた時点ですぐにハナに立つ判断が出来れば好勝負できるはず。しかし今回はテン乗りに加えて控えたがる欧州騎手を乗せたことで、今までの経験が全く白紙の状態での競馬となった
外国人騎手の方が上手いのは分かるが、適性考えず安易に乗せるとこうなるという大きな大きな失敗例といえる

『ジャパンC』 キセキ
◆勝ち馬◆ アーモンドアイ 勝ち時計 2:20.6(良)
◆逃げ馬◆ キセキ(2着) 前3Fラップ 35.9《S》※レース平均3F 35.2


▼逃げ馬短評▼
《キセキ》
0~200mが12.9秒と遅くすんなり先頭を確保できた。最初のコーナーをゆったりまわったらイーブンペースをキープして完全にレースをコントロール。2着にはなったものの従来のタイムを1秒以上更新する世界レコードを作り出したのはこの馬の走りがあってこそ
最後の1Fで交わされた時のラップは12秒まで落ちており、勝ち馬と2頭で死力を尽くした競馬。となると相手より斤量4㎏重い分が大きく響いたと考えられ、実質勝ち馬と同等の評価を与えてもいいパフォーマンスだった
ここまでの力があるのなら今以上に積極的に前を狙っていくのが良さそう。昨年引退したキタサンブラックと記録やイメージがダブル部分があり、遅咲きの王者になる可能性は秘めているように思う
《ウインテンダネス》
大外スタートで出遅れて先頭争いに加わることさえできず。6番手あたりに位置し、最後は伸びずバテずで8着に入った
このレースの1着2着は前に行った馬同士の決着。この馬が逃げられていたら善戦できたのでは、という幻想を抱いてしまう
おそらく次回はスタートを修正して今度こそ逃げようとしてくるはず

『京阪杯』 ワンスインナムーン
◆勝ち馬◆ ダノンスマッシュ 勝ち時計 1:08.0(良)
◆逃げ馬◆ ワンスインナムーン(15着) 前3Fラップ 34.1《M》※レース平均3F 34.0


▼逃げ馬短評▼
《ワンスインナムーン》
並んだスタートで外から二の足で先頭に立った。ダイアナヘイローがピッタリ後ろについてきて、ハロンラップ11.0秒前後の猛スピードを継続。最後の直線で一瞬は抵抗しかけたものの、伸び脚を欠いた
二番人気としては物足りない競馬。普段よりも出足が遅かったのは騎手のせいか馬のせいなのか?
過去のこの馬の成績を見ると冬場はパフォーマンスが落ちる傾向がみえる

12月
『ステイヤーズS』 カレンラストショー
◆勝ち馬◆ リッジマン 勝ち時計 3:45.2(良)
◆逃げ馬◆ カレンラストショー(12着) 前3Fラップ 38.7《S》※レース平均3F 37.5


▼逃げ馬短評▼
《カレンラストショー》
スタートから激しく押して先頭を確保。終始抑えてかかり気味の逃げ。残り1000mでヴォージュに並びかけられペースアップ、最終コーナーの途中で脱落した
最後のキレ勝負が得意な馬なので、今回のようなロングスパートの形になると脆かった。長距離のペースでは抑えきれない部分があるようで、今後は中距離を使っていくだろう。その中でスローペースになるのを待つしかなさそう
《マイネルミラノ》
最初から追わず後方待機策。最後までそのままの位置で9着
逃げ作戦を捨てての長距離の追い込みも不発に終わり、万策尽きたか

『チャレンジC』 マルターズアポジー
◆勝ち馬◆ エアウィンザー 勝ち時計 1:58.3(良)
◆逃げ馬◆ マルターズアポジー(7着) 前3Fラップ 36.4《S》※レース平均3F 35.5


▼逃げ馬短評▼
《マルターズアポジー》
小さく躓いたスタートもすぐにバランスを取り戻してすんなり加速してハナを獲得。5馬身離しての逃げでイーブンペースを作ったものの、ゴール前で失速し7着
ラップタイム表に現れている通りレース平均に近いラップを刻み、理想的なペース配分で行けたわりには最後バテてしまった。ベストは1800mなので少し距離が長かったとは思うが、それを考慮しても案外の走り。勢いを感じた昨年ほどの状態にはなさそう
《サイモンラムセス》
大外スタートから猛プッシュして2番手を確保。先頭のマルターズアポジーは5馬身先にいかせて、この馬も後続からは離れた2番手で展開。最後はバテて失速し8着
積極的に前に行く姿勢で準逃げ状態には出来た。次走の逃げに繋がる走り
《マウントゴールド》
好スタートから逃げ馬たちを前に行かせて3番手に収まった。後続集団の中では一番前を走り、最後の直線では格の違うエアウィンザーの抜け出しに惑わされずタイミングを計り2着に上がった
今回は相手が悪かったが通常なら勝ちに近い内容。次走も前で競馬をするだろう
《ロードヴァンドール》
小さな出遅れから抑えて最後方の競馬。そのまま集団の後ろでレースを終えた
長期休養明けで今回はコースを回っただけ。次走も一変は難しそうで、メンバーに恵まれなければ逃げることもままならないだろう

『チャンピオンズC』 サンライズソア
◆勝ち馬◆ ルヴァンスレーヴ 勝ち時計 1:50.1(良)
◆逃げ馬◆ アンジュデジール(4着) 前3Fラップ 37.1《M》※レース平均3F 36.7


▼逃げ馬短評▼
《アンジュデジール》
最内から好スタートで押して先頭へ。コーナーでグッとペースを落としてスローペースにコントロール。最後の直線でよく粘ったが4着
最短距離を最高のペース配分でこの馬としては最大限の力を発揮。もっと強い馬が他に3頭いたというだけのことで、この結果は大健闘といえる
《サンライズソア》
スタート後、様子を見ながらの先行で5番手追走。最終コーナーで外に回して上がってきたが前には届かず3着
逃げた馬が理想的なイーブンペースで、勝った馬は2番手にいた。この馬も今までの走りのようにもう一列前の位置にいれば、最後勝負はきわどかったように思う。今までの成果を出すか、未知の可能性に賭けるかで、後者を選んだという事だろう

『中日新聞杯』 マイスタイル
◆勝ち馬◆ ギベオン 勝ち時計 1:59.3(良)
◆逃げ馬◆ マイスタイル(8着) 前3Fラップ 35.8《M》※レース平均3F 35.8


▼逃げ馬短評▼
《マイスタイル》
大外スタートで外に向いてバランスを崩した。しかしすぐに立て直すとすんなり加速し先頭へ。序盤からビュンビュン飛ばして4馬身ほどのリード。しかし最後はリードを守れず伸び脚を欠いて8着
先行して早めの仕掛けが勝ちパターンだが、今回は最初から飛ばす大逃げを行って敗退してしまった。これまでは”何も考えず馬の気のままのびのび走らせる田中勝春騎手”らしい競馬で成績を伸ばしてきた。しかし今回は鍛えた先行力が高まりすぎてコントロール不能になる事態
力はあるのだが、このままではチグハグなレースをする馬になってしまいそう。次走は距離短縮や乗り代わりなどの工夫が必要だろう

『カペラS』 サイタスリーレッド
◆勝ち馬◆ コパノキッキング 勝ち時計 1:10.2(良)
◆逃げ馬◆ サイタスリーレッド(2着) 前3Fラップ 33.4《H》※レース平均3F 35.1


▼逃げ馬短評▼
《サイタスリーレッド》
並んだスタートから徐々に前に出て先頭に。1馬身差をキープして展開し、第4コーナーでナンチンノンと一緒に後続を突き放すとそのまま逃げこみ体勢。ゴール直前で最後方から飛んで来たコパノキッキングに交わされ、勝利に近い2着となった
序盤で10.3秒という高速ラップを記録。後ろを引き連れて体力の限り飛ばしていく超ハイペースな展開を作り出した。その結果、最後の1Fが12.9秒という遅いラップとなり後続の足を潰すことにも成功
ただ一頭とんでもない追い込み馬がいた事を除けば完璧なレース運びだった
《ナンチンノン》
最初の1歩は一番速かったが、2歩目で伸びあがる動きになり少し遅れた。芝スタートが影響したか? その後は2番手につけ、第4コーナーでは一旦先頭に並びかけた。しかし重賞クラスでは相手が強く、その後一気に失速して13着
すでに7歳という年齢で、これ以上の伸びしろを期待するのは厳しい

『ターコイズS』 カワキタエンカ
◆勝ち馬◆ ミスパンテール 勝ち時計 1:32.7(良)
◆逃げ馬◆ カワキタエンカ(14着) 前3Fラップ 34.2《H》※レース平均3F 34.8


▼逃げ馬短評▼
《カワキタエンカ》
一旦上げたラップから少しづつ落ちていく一本調子な逃げ。大外からの逃げで勢いがつきすぎてコントロールしきれなくなってしまったようだ
最後の直線で一旦は抵抗したが最後はバテてしまった。スタートから足を使うマイル戦は、あまり向いていないように思う

『阪神C』 ダイアナヘイロー★
◆勝ち馬◆ ダイアナヘイロー 勝ち時計 1:21.1(稍重)
◆逃げ馬◆ ダイアナヘイロー(1着) 前3Fラップ 34.8《M》※レース平均3F 34.8


▼逃げ馬短評▼
《ダイアナヘイロー》
逃げる馬が他におらず、内枠のまま先頭に立てたのが大きな勝因。先頭に立ってから11秒前半を保ち、前半と後半を同じタイムで走るキレイなペース配分
最後の直線で迫られてもしっかり走り切って制したことから1400mがベストといえそう。1200m戦での逃げは難しそうだが、1400mならちょっとくらい無理してでも逃げたほうが好結果につながるだろう

『有馬記念』 キセキ
◆勝ち馬◆ ブラストワンピース 勝ち時計 2:32.2(稍重)
◆逃げ馬◆ キセキ(5着) 前3Fラップ 36.1《M》※レース平均3F 36.5


▼逃げ馬短評▼
《キセキ》
スタートで外に向かって走り出してその修正でかなり立ち遅れてしまった。そのあと前につけるために加速。こうなると勢いがついて番手に留まる選択肢がなくなり離した逃げになった
好走したJCではペースを落とさない走りをしたが、今回は前半飛ばした分中盤でペースを落とし帳尻を合わせ、またそこから早め早めに動いて見た目上はいつもの逃げ込み体勢
しかし序盤で無理した分か残り200mで足が止まってしまった
ただ、負けたとはいえ秋のトップレースを4戦走り抜いた上で不利な展開からの5着は、この馬の能力の高さを再証明に他ならない。来年の活躍が楽しみだ
